大連立(読み)ダイレンリツ

デジタル大辞泉 「大連立」の意味・読み・例文・類語

だい‐れんりつ【大連立】

政治思想政策の違いから通常連立政権を構成することがない2つの大政党が協調して政権を運営すること。→救国大連立挙国一致内閣小連立
[補説]戦争経済危機などの緊迫した政治的課題に対処するために組まれることが多く、第一次大戦中および戦間期英国や、第二次大戦後のドイツイスラエルで多く見られた。日本では平成19年(2007)11月に、自民党民主党の間にこの構想が持ち上がったが立ち消えになった。

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知恵蔵 「大連立」の解説

大連立

2007年11月、福田康夫首相と小沢一郎民主党代表が党首会談を行い、小沢代表は大連立へ意欲的な姿勢を示した。しかし、党執行部から強い反対にあい、小沢は代表の座から退くといったんは表明した。その後、党を挙げての慰留により、小沢は翻意し、代表にとどまることとなった。しかし、大連立をめぐる混乱により、民主党の政権獲得に向けた戦略は大きく頓挫した。 衆参ねじれ国会においては、自民党、民主党のいずれの主張も法律という形で実現することは難しい。そこで、大連立を組むことで国政停滞を打開すべきという意見も出てくる。今回は、中曽根康弘元首相、渡辺恒雄読売新聞グループ会長・主筆が、両党首に大連立を呼びかけたといわれている。 しかし、大連立は民主政治の筋道に逆行するものという声が強い。参議院選挙では、民主党は政権交代を訴えて大きな支持を集めた。大連立はそうした民意を裏切るものともいえる。 そもそも福田政権は、安倍首相の政権投げ出しという大失態の後始末をするためにできたものであり、民主的正統性を欠いている。にもかかわらずこの政権と政策協議を行うということは、福田政権を本格政権と認知することを意味する。そのような二大政党の話し合いで重要政策を決めることは、国民負託の裏付けを持たない、文字通りの談合である。 このように、大連立には大義名分はないが、民主党の政権戦略が固まらなければ、大連立というささやきは、ねじれ国会幽霊のように取りつくであろう。

(山口二郎 北海道大学教授 / 2008年)


大連立

2007年11月の党首協議において、国会運営に苦労する自民党の福田康夫総裁から民主党の小沢一郎代表に、政策レベルの「大連立」構想が示され、政界再編をもくろむ小沢代表は前向きに受けとったが、「大政翼賛会になってしまう」との民主党内の猛反発にあい、提案は実現しなかった。小沢代表は、一時は責任をとって辞意を表明したが、党内の慰留で代表にとどまった。仕掛け人として読売新聞社の渡辺恒雄会長や中曽根康弘元首相の名前があがり、誰が言い出したかで関係者の相互批判が相次いだ。これで衆院解散が遠のいたという憶測が生まれるなど、その後の政局に大きな影を落としている。

(稲増龍夫 法政大学教授 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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