挙国一致内閣(読み)キョコクイッチナイカク(英語表記)national coalition government

デジタル大辞泉 「挙国一致内閣」の意味・読み・例文・類語

きょこくいっち‐ないかく【挙国一致内閣】

経済恐慌戦争などの国家危機が起こった場合に、挙国一致のために対立政党も加えて構成される内閣日本斎藤内閣、英国マクドナルド内閣、フランスド=ゴール内閣などがその例。→大連立救国大連立

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「挙国一致内閣」の意味・わかりやすい解説

挙国一致内閣【きょこくいっちないかく】

政党内閣の危機に成立反対党をも包含した内閣。五・一五事件後の斎藤実(まこと)内閣以降,第2次大戦前の全内閣は実質的に挙国一致内閣だが,特に斎藤,岡田啓介内閣をさし,中間内閣ともいう。外国では1931年,英国で成立したマクドナルド内閣が有名。→連立政権

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「挙国一致内閣」の意味・わかりやすい解説

挙国一致内閣
きょこくいっちないかく
national coalition government

戦争や内乱あるいは経済大恐慌など、国に重大な危機状況が発生したような場合、挙国一致で事態の解決にあたるため、反対党をも加えて構成される内閣。国民政府ともいう。議院内閣制をとる国では、多数党が政権を担当し反対党との政権交替を前提とする政党内閣制による政治が常態である。しかし、非常事態、例外状態が発生したときには挙国一致内閣制をとる場合もある。この挙国一致内閣は、単独の政党だけでは多数を制しえず、他の一党あるいは複数の政党を加えて内閣を構成する連立内閣とは異なる。

 挙国一致内閣の例としては、イギリスにおける第一次世界大戦中のロイド・ジョージ内閣、世界大恐慌を乗り切るためにつくられた1931年のマクドナルド内閣、第二次大戦中のチャーチル内閣、フランスでは1958年のアルジェリア問題解決のために成立したドゴール内閣、日本では、五・一五事件後の1932年(昭和7)に成立した斎藤実(まこと)内閣以降、敗戦に至るまで続いた内閣、がある。

田中 浩]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

山川 日本史小辞典 改訂新版 「挙国一致内閣」の解説

挙国一致内閣
きょこくいっちないかく

広義には国内の各政治勢力の代表を網羅した内閣。一般には1931~39年のイギリスの例が有名だが,日本では経済不況,とくに農村の危機と政党不信の世論が背景となり,一定の支持を集めた。5・15事件で犬養内閣が倒れたあと,元老西園寺公望(さいおんじきんもち)の意向で成立した斎藤内閣の場合,政党では立憲政友会・立憲民政党から,官僚・軍部・財界からも入閣しており,労農勢力が政治勢力としては未熟だったことを考えれば,文字どおりの挙国一致内閣であった。岡田内閣以後の内閣も同様の構成をとる場合が多かった。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

世界大百科事典 第2版 「挙国一致内閣」の意味・わかりやすい解説

きょこくいっちないかく【挙国一致内閣】

政党や社会勢力の複数競合を前提とする議会体制の下で,戦争や深刻な社会危機に際し主要政党の大半や有力社会集団の参加と支持を得て形成される内閣。危機における国民の一体感をつくりやすい反面,閣内統制手段の不足から期待したほど実行力の伴わない場合も多い。戦時を除き単一政党内閣の伝統が強かったイギリスで,世界大恐慌に対応するため,保守,自由両党と労働党から分離した国民労働党によって構成されるマクドナルド内閣が1931年に発足し,挙国内閣national governmentと呼ばれたのが有名。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

旺文社日本史事典 三訂版 「挙国一致内閣」の解説

挙国一致内閣
きょこくいっちないかく

国家の危機に際し対立する諸党派が協力してつくる内閣
特に五・一五事件(1932)直後の斎藤実 (まこと) 内閣・岡田啓介内閣をさすことが多い。五・一五事件直後,軍部の圧力で政党内閣制をやめ,穏健派軍人を首班とした軍部・政党の超党派的内閣が成立。実際には政党排除の傾向をもち,政党の攻撃をうけた。それ以後では二・二六事件('36)後,軍部の干渉のもとに成立した広田弘毅内閣などの例がある。いずれにせよ,実態は各勢力の寄せ集めで,強い政治力を発揮しえなかった。

出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「挙国一致内閣」の意味・わかりやすい解説

挙国一致内閣
きょこくいっちないかく

国家的危機状況 (戦争または経済的大不況など) において,ある一定期間,平素は対立している諸党派が危機打開のために一致してつくる内閣をいう。歴史的には,イギリスの 1930年の経済恐慌時のマクドナルド内閣や第2次世界大戦時のチャーチル内閣などがあり,近代日本史においては五・一五事件後の斎藤内閣が挙国一致内閣と呼ばれた。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

少子化問題

少子化とは、出生率の低下に伴って、将来の人口が長期的に減少する現象をさす。日本の出生率は、第二次世界大戦後、継続的に低下し、すでに先進国のうちでも低い水準となっている。出生率の低下は、直接には人々の意...

少子化問題の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android