日本大百科全書(ニッポニカ) 「大阪市高速電気軌道」の意味・わかりやすい解説
大阪市高速電気軌道(株)
おおさかしこうそくでんききどう
大阪市内とその周辺における地下鉄の運営等を行う会社。大阪市交通局が運行してきた大阪市営地下鉄および大阪市営バス事業が民営化され、2018年(平成30)4月より地下鉄事業が同社に引き継がれた(バス事業は子会社の大阪シティバスに移管)。資本金は2500億円で、大阪市が発行済みの3500株全株を保有している。愛称はOsaka Metro(大阪メトロ)。民営化前の大阪市営地下鉄が軌道法(大正10年法律第76号)に基づいて事業免許を受けており、線区は以前から「高速電気軌道○○線」と呼称されていたので、民営会社の社名も「高速電気軌道」となった。
主要部門は、地下鉄8路線(御堂筋線(みどうすじせん)、谷町線(たにまちせん)、四つ橋線、中央線、千日前線(せんにちまえせん)、堺筋線(さかいすじせん)、長堀鶴見緑地線(ながほりつるみりょくちせん)、今里筋線(いまざとすじせん))と新交通システムの南港(なんこう)ポートタウン線(ニュートラム)1線の、計9路線の経営である。
大阪市営地下鉄は、日本初の公営地下鉄として、1933年(昭和8)5月に御堂筋線の梅田―心斎橋(しんさいばし)間が開業したのが始まりである。その後80年間、大阪市民が納めた税金や利用者の運賃等で線路や駅が建設・運行されてきた。2005年に実質的な黒字決算となって以来、毎年黒字が続き、民営化直前の経常利益は433億円と超優良経営であった。なお公営地下鉄の民営化は、今回の大阪市営地下鉄が全国で初めてである。
子会社として、大阪シティバス、大阪メトロサービス(物販)、大阪地下街などをもつ。2018年7月に発表された同社の「中期経営計画」(2018~2024年度)では、大規模な商業施設、賃貸マンション、オフィスビル建設や地下街開発として、数百億円規模の投資計画が打ち出されている。本社は大阪市西区九条南の旧大阪市交通局本庁舎にある。
[土居靖範 2018年10月19日]