改訂新版 世界大百科事典 「天文定数系」の意味・わかりやすい解説
天文定数系 (てんもんじょうすうけい)
astronomical constants
天体力学,位置天文学,編暦などにおいて,任意の時刻における惑星や恒星の視位置を共通の計算原理で計算するために,国際協定により導入された定数系。現用の定数系は,1976年開催の第16回国際天文学連合総会で採択された値である。天文定数系は,1個の定義定数,一次定数,誘導定数からなり,採択された数値の桁数の範囲内で,最新の理論および観測精度の観点から数値間に矛盾を含まぬよう構築されている。以下に現用の天文定数系を掲げる。
(1)定義定数
ガウス引力定数(太陽のまわりを正確に円運動する質量無限小の仮想天体の平均公転角速度) k=0.01720209895rad/d
(2)一次定数
光速度 c=299792458m/s
光差(光が1天文単位を走る時間)
τA=499.004782秒
地球赤道半径 ae=6378140m
地球の力学的膨らみ J2=0.00108263
地心重力定数
GE=3.986005×1014m3/s2
重力定数 G=6.672×10⁻11m3/kg・s2
月/地球の質量比 μ=0.01230002
36525日間の黄経の一般歳差
p=5029.″0966
黄道の平均傾斜角 ε=23°26′21.″448
(3)誘導定数
A=1.49597870×1011m
太陽/地球の質量比 S/E=332946.0
太陽質量 S=1.9891×1030kg
太陽赤道地平視差 π◉=8.″794148
光行差定数 κ=20.″49552
章動定数 N=9.″2044
日心重力定数
GS=1.32712438×1020m3/s2
執筆者:宮本 昌典
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報