惑星(読み)わくせい

精選版 日本国語大辞典 「惑星」の意味・読み・例文・類語

わく‐せい【惑星】

〘名〙
① 太陽の周囲を楕円軌道を描いて運行する比較的大きな天体水星金星地球火星木星土星天王星海王星の八個。準惑星、小惑星を含めていうこともある。遊星。行星。
※和蘭通舶(1805)一「大地の人をして天の旋を感はしむ、故に、和蘭これを惑星と名く。吾地球も其惑星の一星也」
② 比喩的に、実力・手腕未知ながらも、有力と予想される人。ダークホース
※読書放浪(1933)〈内田魯庵〉銀座繁昌記「無軌道の惑星で終に何等の足跡をも残さなかったが」

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デジタル大辞泉 「惑星」の意味・読み・例文・類語

わく‐せい【惑星】

恒星の周囲を公転する、比較的大きな天体。国際天文学連合はこのほか、自己重力のため球形であることと、公転軌道近くに衛星以外の天体がないことを惑星の要件としている。太陽系では太陽に近い順に、水星金星地球火星木星土星天王星海王星の八つがある。海王星の外側を回る冥王星も長く惑星とされていたが、2006年に同連合によって新たに準惑星に分類された。遊星。
実力・手腕が未知であるが、有望とみられる人。ダークホース。「財界惑星
[補説]惑星の分類(太陽系)
地球型惑星:水星・金星・地球・火星
木星型惑星:木星・土星
天王星型惑星:天王星・海王星
内惑星:水星・金星
外惑星:火星・木星・土星・天王星・海王星
惑星以外の天体の分類
準惑星太陽系小天体衛星

作品名別項。→惑星
[類語]スター恒星星座綺羅星星辰星屑星雲星団天の川銀河首星流星流れ星彗星箒星一番星一等星新星超新星変光星ブラックホール連星主星伴星遊星小惑星衛星α星

わくせい【惑星】[曲名]

原題The Planetsホルスト管弦楽組曲。1914年から1916年にかけて作曲。全7曲。地球を除く七つの惑星を題材とする。ホルストの代表作であり、第4曲「木星」が最もよく知られる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「惑星」の意味・わかりやすい解説

惑星
わくせい
planet

惑星とは,太陽系にある天体のうち,次の三つの条件を満たす天体と定義できる。 (1) 太陽のまわりを楕円軌道で運動している。 (2) 自己重力でほぼ球状をしている。 (3) その天体の軌道周辺には衛星を除き他に物体や天体が存在しない。この定義に従うと,太陽系には太陽からの距離によって,水星金星地球火星木星土星天王星海王星の8惑星がある。これらの惑星はほぼ同一平面上にあり,離心率の小さな楕円軌道を運動している。太陽と地球の平均距離を天文単位といい,約1億 5000万 kmである。水星,金星,地球,火星は,地球型惑星と呼ばれ,固体 (一部液体) 表面をもち,半径は地球半径程度からその3分の1程度までの大きさで,質量も地球質量からその 20分の1程度までと小さく,密度は4-5.5g/ccで大きい。木星,土星,天王星,海王星は木星型惑星と呼ばれ,表面を含め主要部は気体からなり,半径は地球の4倍から 12倍,質量も地球の 15倍から 320倍と大きく,密度は 1g/cc前後と小さい。木星型惑星には多数の衛星と多数の環 (リング) がある。太陽系以外にも恒星と惑星からなる系が多数発見されており,それを太陽系外惑星系 (系外惑星系) という。観測的には軽い惑星を発見することは技術的に難しいため,木星型惑星に属するような大きくて重い惑星を含むものが発見されやすい。

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百科事典マイペディア 「惑星」の意味・わかりやすい解説

惑星【わくせい】

遊星とも。太陽系に属する比較的大きい8個の天体。太陽に近い順に水星,金星,地球,火星,木星,土星,天王星,海王星がある。また火星と木星間には小惑星がある。恒星と違って太陽の光を反射して輝き,またたきをせず,地球に近いもの(水星,金星,火星)は満ち欠けをする。惑星は黄道に沿って順行,逆行,合,衝,留などの見かけの運動を示す。ケプラーの法則に従い楕円軌道を公転し,軌道面はほぼ同一平面上にあり,公転と自転(金星を除く)の方向はすべて同じで,軌道半長径はボーデの法則に従う。地球の軌道を境に内惑星と外惑星に分け,また水星〜火星を地球型惑星(比較的小さく,岩石からなり,比重5前後,自転周期は1日以上),木星〜海王星の4個を木星型惑星(比較的大きく,水素・ヘリウムを主成分とし,比重1〜2,自転周期は半日前後)と呼んで区別する。2006年8月の国際天文学連合総会において,太陽系の惑星とは,(1)太陽の周りを回り,(2)十分大きな質量をもつもので自己の重力によりほとんど球状の形で,(3)その軌道付近に他に目立つ天体がない,との定義を採択した。この定義により,長らく惑星とされてきた冥王星は準惑星(dwarf planet)とされることになった。なお,1995年にはジュネーブの天文台の研究グループがペガスス座51番星の惑星の発見を発表,これを含めて太陽系以外の恒星の惑星は近年数多く発見されているが,ほとんどは間接的な証拠によるものである。

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知恵蔵 「惑星」の解説

惑星

2006年チェコのプラハで開催された国際天文学連合(IAU)総会で採択された定義によると、太陽系の惑星は、太陽の周りを回り、質量が十分大きいので自己の重力により球形で、その軌道付近の他の天体を吸収し、それだけが際立つ天体。この定義によって、太陽系の惑星は太陽に近い順に、水星・金星・地球・火星・木星・土星・天王星・海王星の8個となった。構造で分類すると、岩石を主体とする地球型惑星(水星、金星、地球、火星)と、中心に岩石と金属の核があり、ガスが主体で輪を持つ大型の木星型惑星(木星、土星、天王星、海王星)に分けられる。惑星はほぼ黄道面に沿って、同じ向きに楕円運動をしているが、これは惑星が太陽を回るガスや塵(ちり)の円盤(原始太陽系円盤)の中で成長してできたことを示す。準惑星は、太陽の周りを回り、質量が十分大きいので自己の重力により球形であるが、軌道付近には他の天体が吸収しきれずに残っている、衛星でない天体。冥王星、最大の小惑星セレス(ケレス:Ceres)、新しく発見された天体エリス(2003UB313)などは準惑星に分類された。セドナ(Sedna)は球形かどうか不明なので、未分類。これまで、dwarf planetの訳語として、矮小(わいしょう)惑星あるいは矮惑星が使われることもあったが、日本学術会議は07年の対外報告で準惑星を提案した。

(土佐誠 東北大学教授 / 2008年)

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世界大百科事典 第2版 「惑星」の意味・わかりやすい解説

わくせい【惑星 The Planets】

G.ホルストの作曲したオーケストラ用の組曲。作品32。太陽系の七つの惑星の名前を標題とする7曲からなる。七つの惑星は,それぞれに戦争,平和,翼のある使い,快楽,老年,魔術,神秘の神を象徴する。1914年から16年にかけて作曲され,20年ロンドン交響楽団によって初演された。壮麗な音響効果の魅力ゆえに,日本でもしばしばアマチュアのオーケストラが演奏曲目に採り上げるほど広く親しまれている。【後藤 暢子】

わくせい【惑星 planet】

太陽の万有引力に引かれてその周囲を楕円運動する天体群。遊星とも呼ばれる。内側から水星,金星,地球,火星,木星,土星,天王星,海王星,冥王星の9個があり,その多くは衛星をもつ。また火星と木星の間には数多くの小惑星があり,惑星に集積し切れなかったなごりの物体群と考えられている。水星,金星,火星,木星,土星の5惑星は太陽と月を除けば天空で恒常的にもっとも明るい天体であるから,太古より人類の生活に暦,占星術の形で取り込まれてきた。

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デジタル大辞泉プラス 「惑星」の解説

惑星

イギリスの作曲家グスターブ・ホルストの管弦楽曲(1914-1916)。原題《The Planets》。作曲当時知られていた地球を除く7つの惑星を題材とする。第4曲『木星』が最もよく知られる。

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世界大百科事典内の惑星の言及

【ホルスト】より

…週日は教えるのに多忙なため,日曜日に登校して終日音楽教室で作曲に没頭した。管弦楽組曲《惑星》(1916)は初演当時から好評を博したが,ステレオ時代になってから爆発的な人気を呼び,レコードばかりでなく演奏会でも盛んに演奏されている。ほかにオペラ《放浪学者》(1934),合唱曲,管弦楽のための《サマセット・ラプソディ》(1907)などがあり,吹奏楽のための《前奏曲とスケルツォ,ハマースミス》(1930)なども親しまれている。…

※「惑星」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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