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天体力学 てんたいりきがくcelestial mechanics

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

天体力学
てんたいりきがく
celestial mechanics

天体の運動を論じる天文学の一分野。ニュートンの運動法則万有引力の法則を基礎に,まず二体問題が取扱われ,次いで主として摂動の方法により多体問題が取扱われた。 20世紀に生れた一般相対性理論は,太陽にごく近い水星についての近日点の移動の説明に有効であったが,このような特殊な場合を除いてニュートン力学の近似は十分適応する。以上,一応質点力学として取扱える大きい分野のほかに,衛星や人工衛星のように主星の重力分布が問題になる場合もあり,また地球と月の関係する潮汐運動の問題などが含まれる。

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デジタル大辞泉の解説

てんたい‐りきがく【天体力学】

主に太陽系に属する天体の運動を、力学の法則を応用して理論的に研究する天文学の一部門。

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百科事典マイペディアの解説

天体力学【てんたいりきがく】

力学の法則(ニュートンの運動の三法則と万有引力の法則)に基づいて天体の運動を理論的に研究する天文学の一部門。惑星,衛星,月などおもに太陽系内の天体を扱う。数学的には三体問題摂動が重要な問題で,その成果から海王星冥王星の存在が予言された。

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世界大百科事典 第2版の解説

てんたいりきがく【天体力学 celestial mechanics】

I.ニュートンの万有引力の法則と運動の法則とに基づいて,主として太陽系内天体の運動を論ずる天文学の分野である。二体問題,三体問題,惑星運動論,月・衛星運動論,人工衛星運動論,軌道論,そして地球の歳差と章動,月や惑星の自転運動,平衡形状論などを研究の対象とする。ニュートンの力学理論は20世紀になってA.アインシュタイン一般相対論に交代を余儀なくされた。しかし,太陽系内の天体は相対論の見地では弱い重力場の中をゆっくり運動していることになるので,一般相対論を全面的に援用することは必要でなく,場合に応じて一般相対論による小さな補正効果を論じればよい。

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大辞林 第三版の解説

てんたいりきがく【天体力学】

天体間に作用する力を力学的にとらえ、天体の運動を研究する学問。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

天体力学
てんたいりきがく

ニュートンの万有引力の法則に基づいて天体の運動を記述する学問分野。ケプラーの発見した火星や金星などの運動に関する法則を説明するために導入された万有引力の法則であるが、太陽系の天体ばかりでなく、質量をもつ天体にはすべて当てはまり、星団や銀河系内の星の運動、銀河団の中の銀河の運動の研究にも使われている。
 質量をもつ物体(天体)は他の物体(天体)に一定の作用をする。いくつもの天体があっても、それらの作用をすべて加え合わせると、作用を受けている天体の運動を次々と説明できる。つまり、ニュートン力学が成り立つ範囲では、最初の条件がすべて決まれば、それ以後のすべての天体の動きを明らかにできるばかりでなく、過去にさかのぼって計算することも可能である。
 天体の動きを一定の式を使って解析的に記述することは非常にむずかしい問題である。2体のみが存在する場合には、ケプラーの法則に使われたように、2体の運動を完全に解析的に解くことができる。3体の場合には特別の初期条件の場合にのみ解析的に解ける。このように特別な例を求めることが19世紀に精力的に行われた。フランスのルジャンドルやポアンカレなどの数学者が活躍した。
 一方、3体目の影響を2体間の運動に対するわずかな乱れとして取り扱う摂動論の研究が進められた。この手法は、太陽系のように大きな質量をもつ天体(太陽)があるような場合には有力な手段である。1846年の海王星の発見は、天王星の動きに対する各惑星による摂動量が計算され、それでも説明しきれない影響を与える天体の位置が予言され、それに基づいて発見されたもので、天体力学の大きな勝利の一つである。
 20世紀に入っての天体力学はいかに手順よく計算を進めるかが中心テーマで、あまり本質的な進展はみられなかった。しかし1950年代以降のコンピュータの発達と、人工衛星の打上げによって、その精度が飛躍的に向上した。その結果、天体力学の応用範囲も広がっている。月探査機アポロ号の月着陸や惑星探査機ボイジャーの木星・土星探査の際には天体力学は重要な役割を果たしている。小惑星や月の運動を数百万年以前にまでさかのぼって計算し、その起源を考えるデータを提供している。また銀河系内の星の運動を記述する恒星系力学も発展している。しかし、水星の近日点移動の問題にみられるように、天体力学の応用範囲は相対性理論の影響が小さい場合にのみ限られることを留意しなければならない。[磯部三]

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