天方・天方郷(読み)あまがた・あまがたごう

日本歴史地名大系 「天方・天方郷」の解説

天方・天方郷
あまがた・あまがたごう

現森町のほぼ中央から北東部、向天方むかいあまがた大鳥居おおどりい問詰といづめ鍛治島かじしま亀久保かめくぼ嵯塚さづか西俣にしまた葛布かつぷ辺りに比定される。「抜隊和尚行実」に「住遠州天方」とあり、甲斐向嶽こうがく(現山梨県塩山市)開山抜隊得勝が当地に庵を結び三年ほど住んだと記される。その年代は貞治年間(一三六二―六八)であろう。三倉みくら蔵泉ぞうせん寺所蔵大般若経巻九三は至徳元年(一三八四)九月一五日、「天方上庵」で書写された。また文安三年(一四四六)一二月一三日付の鰐口銘(自得院蔵)に「天方郷栗嶋山護福寺」、長禄四年(一四六〇)一二月日付の鰐口銘(西宮神社蔵)に「遠州周智郡飯田庄天方内□吹村」とあり、前者にみえる護福寺は山号から現鍛治島のくりしま辺りに所在したと推定され、後者の「□吹」は、現嵯塚の片吹かたふきであろうか。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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