国指定史跡ガイド 「天白遺跡」の解説
てんぱくいせき【天白遺跡】
三重県松阪市嬉野釜生田(かもだ)町にある祭祀場跡。伊勢湾の西岸、雲出(くもず)川の支流である中村川が釜生田集落付近で大きく蛇行する左岸の段丘に位置する。縄文時代後期後半を中心とする墓域群または祭祀場跡である。発掘調査の結果、配石遺構37基と埋設土器24が発見され、東西40m以上、南北50m以上の範囲に集中しており、保存状況は良好である。配石遺構は中部山岳地帯から東日本にかけて数多く見られるもので、西日本でこれだけ集中的に存在するのはきわめてまれである。土器棺墓や60点を超える土偶と岩偶(がんぐう)、朱などの赤色顔料が付着した土器や石棒、石剣など祭祀遺物も数多く出土し、葬送儀礼を中心とした周辺集落の共同祭祀場と考えられて重要なことから、2000年(平成12)に国の史跡に指定された。近鉄大阪線ほか伊勢中川駅から車で約15分。