太郎坊(読み)タロウボウ

デジタル大辞泉 「太郎坊」の意味・読み・例文・類語

たろう‐ぼう〔タラウバウ〕【太郎坊】

昔、京都愛宕山あたごやま鞍馬山くらまやま富士山などにすんでいたという大天狗の名。

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精選版 日本国語大辞典 「太郎坊」の意味・読み・例文・類語

たろう‐ぼうタラウバウ【太郎坊】

  1. 〘 名詞 〙 昔、京都の愛宕山(あたごやま)鞍馬山、また、富士山などにすんでいたという大天狗に付けられた名前
    1. [初出の実例]「大憍慢の心の故に忽に日本第一の大天狗となりて候き、此をあたごの山の太郎房とは申候也」(出典:延慶本平家(1309‐10)二本)

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世界大百科事典(旧版)内の太郎坊の言及

【愛宕山】より

…五ヵ寺の歴史は明らかではないが,朝日峰の白雲寺が本地仏勝軍(将軍)地蔵を祭り,京都東山の将軍塚とともに京を守護する塞(さえ)の神(勝軍は塞の神の変化と考えられている)を祭る山として信仰されてきた。また天狗伝承も愛宕山を特色づけている信仰の一つで,愛宕山の天狗は太郎坊と呼ばれ,日本第一の天狗と位置づけられている。愛宕信仰【宮本 袈裟雄】。…

【真済】より

…空海の詩文を集めて《性霊集(しようりようしゆう)》とし,その序文は名文として有名。伝説では,高雄山に12年こもったが,染殿の后を見て心に迷いを生じ,没後に大天狗と化し,愛宕山の太郎坊となったという。【和多 秀乗】。…

【天狗】より

…能楽では《鞍馬天狗》《葛城天狗》《松山天狗》《是界(せがい)》《第六天》《大会》《車僧》などの曲があり,そのなかに著名な山の天狗が出てくる。すなわち彦山の豊前坊,白峯の相模坊,大山の伯耆坊,鞍馬の大僧正,愛宕山の太郎坊などで,今も庶民信仰の対象となっていて,本社,本寺に並んで信者が多いところもある。また昔話,伝説のなかにも天狗を物語るものが多いのは,それだけ庶民に親しまれる存在だったからである。…

※「太郎坊」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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