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夾紵棺 きょうちょかん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

夾紵棺
きょうちょかん

あらい布地を重ね,漆で固めてつくった。夾は重ね合せること,紵は麻布を意味する。大阪府高槻市奈佐原の阿武山古墳の夾紵棺は長さ 1.97m,幅 62cm,高さ 51cmで,20枚以上のあらい布を重ね,表面には黒漆が,内面には朱漆が塗られていた。奈良県の牽牛子塚古墳のものは破片であったが,麻布 35枚を重ね,同じく外側に黒漆,内側には朱漆が塗られていた。また,奈良県橿原市の菖蒲池古墳の2個の石棺の内張りのように夾紵の技術のみがみられるものもある。日本で夾紵棺が用いられたのは,7世紀後半頃と考えられるが,中国ではすでに漢代に用いられ,山西省陽高県古城堡魯相墓から夾紵棺が発見されている。

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世界大百科事典内の夾紵棺の言及

【棺】より

…原則的には直接遺骸を入れるものを指し,火葬や洗骨後の骨を納める蔵骨器と区別する。材質により,木棺,夾紵(きようちよ)棺,石棺陶棺などに,また形状によって,割竹形,舟形,家形,長持形などに分けられる。石棺と木棺が普遍的であり,これらはさらに組合せ式と刳抜(くりぬき)式に区別できる。…

【乾漆】より

…乾漆は主に近代の用語で,初めは後述の乾漆像について主に用いられ,のち一般化して現在は工芸,考古学の分野でも用いられる。
[中国,朝鮮]
 夾紵技法はおそらく中国で始まり,すでに漢代には山西省陽高県出土の前漢の夾紵棺,楽浪出土の後漢建武21年(45)の夾紵耳杯などさまざまな容器や飲食器の遺例がある。夾紵像の文献上の初見は東晋395年以前に,招隠寺に夾紵行像五軀が作られたという(《法苑珠林》ほか)。…

※「夾紵棺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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