黒漆(読み)クロウルシ

デジタル大辞泉 「黒漆」の意味・読み・例文・類語

くろ‐うるし【黒漆】

黒色の漆。古くは透き漆油煙などをまぜてつくったが、現代では鉄分や鉄の化合物を用いてつくる。

こく‐しつ【黒漆】

黒色のうるし。また、それを塗ったもの。
まっ黒で、つやがあること。漆黒。「黒漆の髪」

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精選版 日本国語大辞典 「黒漆」の意味・読み・例文・類語

こく‐しつ【黒漆】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 黒色のうるし。また、そのうるしで塗ったもの。
    1. [初出の実例]「勢至房は萠黄威の腹巻に、黒漆(コクシツ)大太刀もって」(出典:高野本平家(13C前)一)
    2. [その他の文献]〔後漢書‐礼儀志下〕
  3. まっくろで光沢のあること。漆黒(しっこく)
    1. [初出の実例]「黒漆(コクシツ)の髪、雪白の肌」(出典:うもれ木(1892)〈樋口一葉〉九)

くろ‐うるし【黒漆】

  1. 〘 名詞 〙 黒色の漆。鉄分によって黒変する性質を利用し、古くは透漆(すきうるし)に油煙を混ぜたが、江戸時代頃から鉄または鉄の化合物を加えて製した。
    1. [初出の実例]「右新嘗会宴食料依前件、其雑器親王已下三位已上朱漆、四位已下五位已上烏漆(くろうるし)并土器」(出典:延喜式(927)三二)

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普及版 字通 「黒漆」の読み・字形・画数・意味

【黒漆】こくしつ

黒のうるし。〔三国志、魏、皇妃、武宣卞皇后伝注に引く魏略〕后、性儉、麗を(たつと)ばず。珠玉無し。は皆漆。

字通「黒」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の黒漆の言及

【漆工芸】より

…精製漆は,生漆を攪拌して漆を均一にする〈なやし〉,太陽熱などを利用して漆の水分をとり粘稠(ねんちゆう)性をもたせる〈くろめ〉という工程を加えたものである。こうしてつくられたものを透漆(すきうるし)というが,これに鉄分を加えると黒漆になる。黒漆は無油の呂色漆(ろいろうるし),有油の塗立漆(ぬりたてうるし)がおもなもので,透漆は無油の木地呂漆と有油の朱合漆が主である。…

※「黒漆」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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