菖蒲池古墳(読み)しょうぶいけこふん

精選版 日本国語大辞典 「菖蒲池古墳」の意味・読み・例文・類語

しょうぶいけ‐こふん シャウブ‥【菖蒲池古墳】

奈良県橿原市五条野町にある横穴式石室を持つ終末期古墳。二基の刳抜式家形石棺を内蔵している。昭和三一年(一九五六国史跡指定

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日本歴史地名大系 「菖蒲池古墳」の解説

菖蒲池古墳
しようぶいけこふん

[現在地名]橿原市五条野町

丸山まるやま古墳から高市郡明日香村大字おかに通じる道路の北側、甘樫あまかし丘より西方に起伏する低い丘陵の南斜面にある。封土はほとんどなく天井石の上面を露出する現状である。永保二年(一〇八二)五月の大和国僧某家地売券案(東寺文書)に、高市郡東三〇条二里一七坪の東に石墓のあることを記すが、この石墓が菖蒲池古墳に相当すると考えられ、すでに石室が開口していたことを示している。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

国指定史跡ガイド 「菖蒲池古墳」の解説

しょうぶいけこふん【菖蒲池古墳】


奈良県橿原市五条野町の高市郡明日香村との境に近い尾根筋の一段低い南斜面に所在する。墳丘はほとんど消失し、2枚の天井石が露出して残っている。石室は南に開口する横穴式で、玄室は長さ6m、幅2.4m、高さ2.5m。面が整った花崗岩巨石を2段に積み3枚の天井を架けている。石の隙間に漆喰(しっくい)を詰めた半切り石の構造で、玄室内には南北に2基の凝灰岩製家形石棺安置。この両石棺は蓋が移動されて全面が破損しているが、寄せ棟造り風の屋根をもつ精巧なもので、北側の石棺は蓋部の棟を平坦、南棺は凹に仕上げている。埋葬者については、藤原京中軸線の南延長上に、天武・持統天皇陵とともに位置することから皇族と考えられ、この2基の家形石棺が特異なことなどから1927年(昭和2)に国の史跡に指定され、その後、石室前面の覆屋と扉を設置するなどの整備が行われた。近畿日本鉄道吉野線岡寺駅から徒歩約15分

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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