奈郷
なごう
「和名抄」高山寺本・東急本ともに「奈郷」と記し訓を欠く。奈郷の名は他史料にはみえない。郷名は「日本書紀」持統天皇三年八月一六日条に「摂津国の武庫海一千歩の内、紀伊国の阿提郡の那耆野二万頃、伊賀国の伊賀郡の身野二万頃に漁猟することを禁め断めて守護人を置きて、河内国の大鳥郡の高脚海に准ふ」とある「那耆野」が近く、「大日本地名辞書」はナギノと訓じている。しかし補説で海部郡衣奈郷の誤りかとする。「続風土記」は漁猟を禁じた海岸は有田郡には須佐郷があるから湯浅(現湯浅町)・広庄(現広川町)以外になく、名島村(現広川町)をその名残とする。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
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