契情買虎之巻(読み)ケイセイカイトラノマキ

デジタル大辞泉 「契情買虎之巻」の意味・読み・例文・類語

けいせいかいとらのまき〔ケイセイかひとらのまき〕【契情買虎之巻】

洒落本。1冊。田螺金魚たにしきんぎょ作。安永7年(1778)刊。遊女瀬川と客五郷との悲恋を描く。人情本の祖とされる。

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精選版 日本国語大辞典 「契情買虎之巻」の意味・読み・例文・類語

けいせいかいとらのまき‥かひとらのまき【契情買虎之巻】

  1. 洒落本。一巻一冊。田にし金魚作。安永七年(一七七八)刊。吉原の遊女瀬川は亡夫幸次郎によく似た五郷と恋仲になるが、周囲の邪魔にあって果たせず、ついには男児を残して死ぬという筋。盲人鳥山検校の瀬川落籍事件に取材。遊女と客の悲劇的な姿を描き、後世人情本の祖とされる。

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世界大百科事典(旧版)内の契情買虎之巻の言及

【田螺金魚】より

…江戸神田白壁町居住の医者鈴木位庵。1777年(安永6)の処女作《妓者(げいしや)呼子鳥》は,実在の町芸者2人の名を借りて,1人の客との三角関係を描き,つづく《契情買(けいせいかい)虎之巻》(1778)は,盲人の高利貸鳥山検校が吉原松葉屋の瀬川を身請けした当時の話題に材を取り,遊里における恋愛真情を伝奇的構成によって脚色し,これらが後の人情本への展開の素地をつくった。ほかに善光寺開帳を当てこんだ黄表紙風の《一事千金》,吉原と岡場所の比較を合戦記に擬した《淫女(けいせい)皮肉論》,通(つう)の心得を語らせる《傾城買指南所》(以上1778),しゃれのめした滑稽作《多荷論(おせわろん)》(1780)などがあり,多彩な作風を示している。…

※「契情買虎之巻」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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