改訂新版 世界大百科事典 「学生キリスト教運動」の意味・わかりやすい解説
学生キリスト教運動 (がくせいキリストきょううんどう)
Student Christian Movement
略称SCM。一般的名称としては大学生を対象としたキリスト教の伝道,研究,奉仕活動をさす。個別的名称としては19世紀に創立されたイギリスおよびアメリカのYMCAとYWCAの学生部,いわゆる学Yの運動をさす。1886年マサチューセッツ州マウント・ハーモンで大衆伝道者ムーディの指導のもとに開かれた学Yの夏期学校は大学生を宣教師として志願させるスチューデント・ボランティア運動の出発点となったが,この大学生による海外宣教運動からうまれたのが学生キリスト教運動である。各国の学Yの連合団体が世界学生キリスト教連盟であるが,各国の教会の内外で超教派的な協力一致運動を展開し,世界教会協議会に結実をみた近代のエキュメニカル(世界教会)運動の指導的人物を多く輩出した。日本のSCMは昭和初期に社会的キリスト教の尖兵となったように,政治と社会への関心が伝統的に強い。
執筆者:古屋 安雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報