学校が長期休業中の夏期に、その施設を利用し、教員を講師として開かれる講習会や講座で、その性格には、学校教育の補習を目的とするもの、大学の公開講座ないしその変型とみなされるもの、教育職員免許法との関連における認定講習など、さまざまなものがある。
初等・中等教育段階における夏期学校は、18世紀に、義務教育制度が成立する過程のプロシアで、冬期間の通学が困難な地域の子供たちを集めて、正規の課業を授けるために開かれたのが最初だといわれる。現在では、この種の夏期学校は先進諸国ではあまり例がなく、わが国の場合でも、学業不振児や上級学校進学希望者を対象に行われる補習教育か、さもなければ、教員組合や青少年教育団体が実施する、学習習慣を維持強化させるための教育活動がその主流をなしている。
高等教育段階における夏期学校は、19世紀後半のアメリカで、大学教育を一般の市民にも広く開放する目的で試みられた夏期講座に始まるもので、この伝統は今日のわが国の大学でも継承されている。市民団体や公民館などが主催者となって企画する夏期(季)大学なども、その一つの発展形態と考えることができる。教育職員免許法に定められた単位を取得しようとする者を対象に行われる夏期の認定講習は、大学または都道府県の教育委員会の開設するもので、開放的な教員免許制度の趣旨に応じるものでもある。
[井上治郎]
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