キリスト教青年会Young Men's Christian Associationの通称。キリスト教の精神に基づいて、会員相互の全人格の向上と、奉仕の精神を助長し、キリスト教の理想とする社会の建設を目ざす世界的な青年団体。1844年、ロンドンの呉服店で働いていたジョージ・ウィリアムズGeorge Williams(1821―1905)が労苦にあえぐ当時の青少年労働者のために12名の友人たちと結成した。YMCAは各地に広まり、1855年にはパリで最初の世界大会が開かれ、世界YMCA同盟が結成されてジュネーブに本部が置かれている。
わが国においては、1880年(明治13)神田乃武(かんだないぶ)らの提唱により東京で結成されたのをはじめとして、各地で組織された。その後、学生伝道がなされ、1888年東京大学学生基督(キリスト)教青年会が創立され、J・R・モットの来日の影響を受け、各都市において学生基督教青年会(学Y)の運動が盛んになった。わが国には2000年(平成12)現在、約10万6000人の会員があり、34の都市YMCAと37の大学YMCA加盟校がある。なお、キリスト教女子青年の運動として同じような精神で組織されたYWCAがある。
[竹中正夫]
『奈良常五郎著『日本YMCA史』(1979・日本YMCA同盟出版部)』
正称は〈キリスト教青年会Young Men's Christian Association〉。キリスト教の信仰にもとづいて,男子青年の人間教育と社会奉仕を目的とする世界的な団体。1844年,当時22歳の呉服商店員ウィリアムズGeorge Williamsを中心に,12名の青年がロンドンで初めて組織した。その後欧米諸国に急速に広まり,55年にはパリで世界大会を開いた。キリスト教会と密接な協力関係にあるが,主として信徒による超教派的な運動で,もとは労働青少年たちのための体育館や宿泊設備の建設,学生伝道などから始まった。彼らが成人し社会人となってからも運動を支えたために,青少年教育を基本としながら広い社会教育と奉仕活動を国際的に展開,推進している。日本では80年に東京に創立されたのが最初であり,J.R.モットの来日により諸大学にもいわゆる学Y(学生YMCA)ができた。YMCAの標識は赤三角形であるが,これは体育・知育・徳育による青年の身体・知性・精神の向上を意味している。
執筆者:古屋 安雄
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正称はキリスト教青年会(Young Men's Christian Association)。1880年(明治13)小崎弘道(こざきひろみち)が会長となり,東京京橋区の京橋教会において,アメリカのYMCAにならい東京青年会を組織。日本では文明開化の基底にキリスト教の真理と生命力が必要とした思想運動の色彩が濃厚。地域YMCA・大学YMCA・キャンプ場・研究所がある。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
…一般的名称としては大学生を対象としたキリスト教の伝道,研究,奉仕活動をさす。個別的名称としては19世紀に創立されたイギリスおよびアメリカのYMCAとYWCAの学生部,いわゆる学Yの運動をさす。1886年マサチューセッツ州マウント・ハーモンで大衆伝道者ムーディの指導のもとに開かれた学Yの夏期学校は大学生を宣教師として志願させるスチューデント・ボランティア運動の出発点となったが,この大学生による海外宣教運動からうまれたのが学生キリスト教運動である。…
… 他方,19世紀後半のアメリカでは教派主義への反省が起こり,こんにちの教会合同運動の濫觴(らんしよう)となるものが生まれた。それはキリスト教青年会(YMCA),キリスト教女子青年会(YWCA),世界学生キリスト教連盟(WSCF)などで,いずれも平信徒運動という特徴をもっている。いっそう本格的なのは1910年エジンバラでもたれた世界宣教会議(のちに国際宣教協議会IMC)であり,これは他の世界教会運動といっしょになって,48年アムステルダムでの世界教会協議会(WCC)へと展開し,こんにちまで続いている。…
…スイスのジュネーブに生まれる。YMCAの世界組織の創設者の一人でもある。大学卒業後,フランス支配下のアルジェリアに赴き開発事業に携わるが,その事業が思わしくなく,1859年,再建交渉のためにパリに行く途上,イタリア統一戦争に遭遇。…
※「YMCA」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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