世界の観光地名がわかる事典 「学生牢」の解説 がくせいろう【学生牢】 ドイツのバーデンビュルテンベルク州の北西部、古都ハイデルベルク(Heidelberg)の中心部ビスマルクプラッツ(Bismarckplatz)にある、同国最古の大学、ハイデルベルク大学のかつての学生の収監施設(牢屋)。ハイデルベルク中央駅から徒歩約20分、マルクト広場から徒歩約5分の場所にある。1712年建造のバロック様式の旧大学校舎の裏手、アウグスティーナーガッセ(Augstinergasse)という通りにある。かつてのハイデルベルクの町は、司法や警察の権力が及ばない、大学による自治が行われていた。この自治の中で、大学規則の悪質な違反者をとらえ収監する施設として使われていたのがこの建物である。実際、牢屋として使われたのは1712~1914年までで、記録では違反者は最低3日間、最長で3週間程度収監された。最初の3日間はパンと水のみ、4日目からは差し入れが許されるという規則もあり、一般社会にくらべゆるやかだった。また、収監中も講義を受けることが奨励され、受講が終わると牢屋に戻るという生活を送ったという。◇学生はむしろこの学生牢への収監を名誉としていたともいわれ、この学生牢を「王座の間」、あるいは「グランドホテル」と呼んでいた。学生牢の中には、歴代の収監者の落書きがたくさん残っている。この学生牢は現在、同大学の博物館の一部として公開されている。 出典 講談社世界の観光地名がわかる事典について 情報