宇宙ビジネス

共同通信ニュース用語解説 「宇宙ビジネス」の解説

宇宙ビジネス

人工衛星ロケット製造宇宙旅行など、広範な分野が含まれる。人工衛星で撮影した地上の画像データを解析して農業や車の自動運転に活用したり、地球外に人類居住空間を確保したりする事業が想定されている。市場規模を巡っては軍事予算を含むかどうかなどで試算に幅があり、2022年時点で約4千億~5千億ドル台(約50兆~70兆円台)とされている。(ケープカナベラル共同)

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知恵蔵 「宇宙ビジネス」の解説

宇宙ビジネス

人工衛星の打ち上げや運用及びデータ活用など、宇宙において商業目的で行われる事業のこと。民需による営利を目的とした衛星放送や通信、衛星データ活用などのサービスを行う企業のみならず、官需が支える軍用等も含めたロケットや人工衛星の機材、設備の製造などインフラにかかわる宇宙産業など、宇宙空間に関するビジネスを総称して宇宙ビジネスという。
かつての宇宙開発は、莫大(ばくだい)な費用を要することから、国家主導する軍事利用や技術開発など営利を目的としないものから始まった。しかし、技術が成熟しコストの低減が進んだことから、現在では民間による商業的な宇宙利用も拡大してきている。
軌道上にある人工衛星は4400機を上回るようになり、これらによる地球観測や通信などは基本的なインフラとなっている。技術の進展により、小型、軽量、長寿命、高性能の衛星が開発され、コンピューターによる衛星データの詳細な解析も可能になった。こうしたことを背景に、民間の宇宙空間の利用は衛星放送や通信だけに限らず拡大し、営利目的の事業としてこれらに取り組む企業が多数現れている。欧州では1980年に各国政府などの共同出資によるロケット打ち上げ事業体が設立され、日本のスカパーJSATなどの静止商業衛星の打ち上げでは世界の半分以上ものシェアを誇る。米国も2000年代後半に宇宙政策を国家の主導から転換し、軌道上への輸送サービスなどにも民間事業者を活用するとした。
経済産業省や内閣府の調べでは、08年には1500億ドルに満たなかった世界の宇宙産業の市場規模は、14年には2000億ドルを超えるまでに推移している。内訳は約6割が通信、放送、測位、リモートセンシング(地球観測)等の衛星サービスによるもので、地上設備が約3割、残りが衛星製造や打ち上げなどである。日本の市場規模については1.2兆円(16年)であるとし、政府は宇宙ベンチャー育成にリスクマネー供給などの支援を行い、30年代の早期には倍増を目指して取り組みを進めるとしている。

(金谷俊秀 ライター/2019年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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