磨消縄文(読み)すりけしじょうもん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「磨消縄文」の意味・わかりやすい解説

磨消縄文
すりけしじょうもん

縄文時代に発達した土器の文様装飾技法の一つ。土器面に撚紐(よりひも)を回転させて縄文施文し、その上にさらに沈線を引いて区画文を描き、その区画の外か内側の縄文を磨り消して装飾効果をあげる方法をいう。ただし、縄文の施文に先だって区画文を引き、そのあと区画内だけに縄文を施文するものも一般に磨消縄文とよばれている。この技法は縄文時代の前期におこり、晩期に至るまで繰り返し用いられ、東日本においては弥生(やよい)土器の一部にまで残存した。西日本の縄文土器では後期後半以降用いられなくなる。このことから、磨消縄文は東日本縄文文化のなかで生まれ発達した文化伝統の一つと考えてよい。

[鈴木公雄]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「磨消縄文」の意味・わかりやすい解説

磨消縄文
すりけしじょうもん

縄文土器に主として用いられた文様手法。縄文を施したのち沈線で区画し,枠外の縄文をすり消して内側だけの縄文を残すか,あらかじめ沈線で区画文を描いて縄文を充填する方法によってつくられる。縄文時代前期にわずかに現れるが,中期末から急速に発達し,後・晩期に盛行。東日本の弥生土器にも継承されている。

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