安吉保(読み)やすよしほ

日本歴史地名大系 「安吉保」の解説

安吉保
やすよしほ

現安吉町一帯に比定される。「蔭涼軒日録」寛正五年(一四六四)七月二四日条に洪恩こうおん(現京都市上京区)領安吉保がみえ、慈愛(慈受)(現京都市上京区)押領をとどめ洪恩院に安堵されている。その後、紹景しようけい(京都天龍寺塔頭か)浄土じようど(現京都市左京区)が権利を主張して違乱に及んだため、洪恩院主が幕府に訴え、幕府はこれを糾明するよう寺奉行飯尾大和守に命じている(同書長享元年一〇月二九日条・同年一一月一日条)。文明一五年(一四八三)七月二六日、洪恩院雑掌は当保内の心覚加地子分二四八貫文(一八ヵ年分か)など計六六八貫文余を貸主南明庵に返済したので、担保としていた仙薗せんおん(現京都市右京区)の返付を求めている(政所賦銘引付)

享禄三年(一五三〇)四月六日には、代官野依又四郎が当保を押領、年貢などが有名無実になったため、鹿苑院殿(足利義満)が洪恩院に寄進した所領であるから厳重に成敗するよう京都鹿苑ろくおん院・天龍寺らの僧が幕府奉行人飯尾彦左衛門尉に申入れた(「鹿苑寺承易等連署書状」鹿王院文書)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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