改訂新版 世界大百科事典 「定時制高校」の意味・わかりやすい解説
定時制高校 (ていじせいこうこう)
1948年に全日制高校と同時に発足した勤労青少年のための高校。授業形態は彼らの労働や生活に合わせて夜間制(都市部に多い),昼間制,昼夜間制(農村部に多い)をとっているが,夜間制が大多数を占めている。1950年代まではほぼ3000校,約50万人の生徒(全高校生の約20%)を擁していたが,高度経済成長のなかで全日制高校進学者が急増し,中卒就職者が激減したため,60年代後半から校数,生徒数はともに減り始め,82年には1186校,13万8000人(同上,約3%),96年には918校,10万6000人(同上,約2%)に落ちこんでいる。60年代から技能教育施設で修得した職業科目を定時制の単位として認める連携教育が始まったが,普及しなかった。今日の問題は,70年代から強まった偏差値重視の高校進学体制によって,定時制がその最底辺に位置づけられ,定時制生徒が労働と学習の意欲をともに失いがちである点にある。定時制高校の統廃合は今後いっそう進むが,そのなかでこれら青少年に生きることを励ます。教育の場としてこれを再生させることが,緊切な課題である。
→夜学
執筆者:小沢 有作
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報