学校教育法(昭和22年法律第26号)の規定により,大学には夜間において授業を行う学部を置くことができるとされており(86条),これに相当するものが夜間部(夜間学部)または二部(日本)と呼ばれる。大学院の研究科および短期大学の学科についても,それぞれ夜間に授業を行うものが認められている(同法101条および108条6項)。夜間部の歴史は古く,第2次世界大戦前から,明確な法的根拠はないものの,旧制の大学や専門学校において,昼間働きながら夜間に学ぶ勤労学生のために夜間の授業が行われていた。戦後も国公私立を問わず多くの大学・短期大学に夜間部が設けられ,教育の機会等を保障するために大きな役割を果たしてきた。しかし,日本の経済成長等に伴う社会状況の変化により,勤労学生よりも昼間の大学に不合格となって夜間部に入学する者の割合が次第に増加し,夜間部の性格の曖昧化が指摘されるようになった。1975年(昭和50)頃を境として,志願者数も徐々に減少し始めた。
1980年代後半に臨時教育審議会答申により生涯学習の推進(日本)が打ち出されてからは,18歳人口の減少もあって,大学・大学院の夜間授業(日本)は社会人のスキルアップの場へと移行しており,受講のしやすさを考えて昼夜開講制(日本)の仕組みも整備された。近年は,夜間学部の廃止が続き減少の一途であるのに対し,学生のニーズを反映して社会人向けの夜間または昼夜開講制の大学院の増加がみられるようになっている。
著者: 寺倉憲一
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報
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