宝の山に入りながら手を空しくして帰る(読み)タカラノヤマニイリナガラテヲムナシクシテカエル

デジタル大辞泉 の解説

たからやまりながらむなしくしてかえ

《「正法念経」から》よい機会にあいながら、その好機を逃がし、なんの利益も得られないで終わる。

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精選版 日本国語大辞典 の解説

たから【宝】 の 山(やま)に入(い・はい)りながら=手(て)を空(むな)しくして帰(かえ)る[=ただにて帰(かえ)る]

  1. よい機会にあいながら、その望みを達し得ないで終わる。利益を得る好機を得ながら、それを逃してしまう。宝の山。
    1. [初出の実例]「汝人の身を得て道を行(おこなは)ず成にき、入宝山手還が如し」(出典:観智院本三宝絵(984)序)

宝の山に入りながら手を空しくして帰るの補助注記

三代実録‐貞観四年一〇月七日」に「悲宝山之徒帰。痛刀林之永割」とある。

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ことわざを知る辞典 の解説

宝の山に入りながら手を空しくして帰る

大きな利を得る絶好の機会に出会いながら、何も得ないで終わる。好機に臨んで、それを生かせず逃してしまうことのたとえ。

[使用例] 関西第一の酒造地に泊まって、酒が飲めないとは「宝の山に入りながら……」の嘆なきにしもあらずだった(財布には五厘銅貨が六銭あるだけ)[種田山頭火*近在行乞記(広島尾道)―昭和八年|1933]

[解説] 中国後漢の「正法念処経」にあることばによるもの。

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