日本大百科全書(ニッポニカ) 「宝成線」の意味・わかりやすい解説
宝成線
ほうせいせん / パオチョンシエン
中国、宝鶏(ほうけい)―成都(せいと)間の鉄道名称。延長669キロメートル。隴海(ろうかい)線の宝鶏から分岐し、秦嶺(しんれい)山脈を越え、長江(揚子江(ようすこう))の支流嘉陵(かりょう)江に沿う「蜀(しょく)の桟道(さんどう)」と並行して険しい峡谷を南下し、四川(しせん)省の省都である成都に至る幹線鉄道である。沿線には広元(こうげん)、綿陽(めんよう)などの都市がある。中華人民共和国成立後の第一次五か年計画で建設された鉄道で、1952年に着工、1956年に全通した。険峻(けんしゅん)な山地と峡谷を経由するため、橋梁(きょうりょう)とトンネルの多い急勾配(こうばい)線区となった。第二次五か年計画で電化工事が進められ、1961年に宝鶏―鳳州(ほうしゅう)間(91キロメートル)が交流2万5000ボルトで電化を完成させたが、これは中国の鉄道における電化の最初であった。鳳州以南の区間の電化工事は1969年に着工され、1975年に全線の電化が完成した。
[青木栄一]