宿院仏師(読み)しゅくいんぶっし

改訂新版 世界大百科事典 「宿院仏師」の意味・わかりやすい解説

宿院仏師 (しゅくいんぶっし)

室町時代,奈良の宿院に住した仏師集団で,その居所からこの名がある。室町時代に入ると俗人の仏師が現れるが,宿院の仏師はその好例で,彼らは番匠つまり大工集団から出たもので,仏師の下請け的仕事をしているうちに仏師として独立した。室町時代末から桃山期にかけて源次源三郎源四郎源五郎などがあり,〈南都住宿院仏師〉と自称した。天平時代以来800年を経て,ふたたび俗人仏師が活躍するようになったわけで,彼らは〈仏師屋〉とも名乗っているように代金仕事をする仏師となり,これがその後の仏師の主流となっていく。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の宿院仏師の言及

【仏所】より

…そのほかの都市でも多くの仏所がつくられている。これらのうちには奈良の宿院仏師のように,番匠,つまり大工の集団から発達し,最初は仏師の下請け的な仕事をしているうちに,仏師として独立した俗人仏所もでき,平安初期以来800年間,実生活はともかく,僧籍にあるはずの仏師の伝統が破られることとなり,やがて正統仏師とは異なった町の仏師屋へと変容してゆき,これがむしろ江戸時代の主流となってゆくのである。大仏所では11世紀中葉にはすでに120人ほどを動員できる能力があったが,鎌倉時代に入ると,さらに整備され,東大寺南大門の仁王像のごとき8mの巨像2体を,わずか72日で完成させており,その動員力と完備した組織の存在を想像させる。…

※「宿院仏師」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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