中世の建築工匠。古代の木工(こだくみ)、近世の大工(だいく)にあたる。奈良時代に官営工房に勤務する工匠や雑役労働力を上番匠丁(じょうばんしょうちょう)と称したことに由来するが、古代の番匠は多様な分野の工匠の総称であり、1265年(文永2)の『若狭(わかさ)国惣田数(そうでんすう)帳』にみえる番匠が、木工に限定されるようになった早い用例である。番匠集団は大工(だいこう)、引頭(いんとう)、長(おさ)、連(つれ)の四階層によって作業組織を編成したため、指揮工を意味する大工の語も、中世から番匠の同義語として併用されており、近世には番匠にかわって大工が建築工匠の一般的な呼称となった。
[浅香年木]
『大河直躬著『番匠』(『ものと人間の文化史5』所収・1971・法政大学出版局)』
「ばんじょう」とも。中世の木造建築技術者。もとは番上(ばんじょう)の木工(もく)に由来するらしい。中世初期には,ほとんどが修理職(しゅりしき)・木工寮(もくりょう)や南都の大寺院,地方の国衙・国分寺に属した。やがて無所属の散在工もふえて受注競争が激化した結果,各寺社ごとに大工職(だいくしき)(工事の独占請負権)が成立した。16世紀には,いくつかの都市で十六人番匠などという有力番匠の独占的連合も結成された。「春日権現験記(かすがごんげんげんき)」などの絵巻が番匠の作業風景を活写している。
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… 平安時代から中世にかけて〈大工〉の意味はしだいに変化する。たとえば1208年(承元2)の興福寺北円堂造営では,番匠(ばんじよう)大工2人・引頭(いんどう)8人・長(おさ)20人・連(むらじ)11人,瓦葺き大工2人・引頭2人,瓦造大工1人,鍛冶長2人,鋳物師大工1人が参加しており,大工は番匠,瓦葺き,瓦造,鋳物師の統率者としての役名あるいは肩書となっている。構成は律令期の大工,少工,長上工,番上工とちがって大工,引頭,長,連となっており,大工はそれぞれの職種ごとにその長を示している。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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