寛丸名(読み)ゆたけまるみよう

日本歴史地名大系 「寛丸名」の解説

寛丸名
ゆたけまるみよう

のち寛御厨となる。応徳元年(一〇八四)一二月二〇日追捕使山口清任書状(書陵部蔵壬生家文書)に「ゆたけまるか名田」と出る。清任の書状は、仮名民有年の所領寛丸名田内五段を、内見納所預友常が納所田の内として官物を進済したと称したので、その事否を確認したことに対する返事。清任は内見納所使であり(康和元年一〇月七日「伊勢大神宮検非違使并在郡司等解案」同文書)、内見納所が寛丸名の官物を友常から受納したか否かを確かめたものと考えられるが、清任は「いかてゆたけまろとうけたまはりさふらひなからには、とりさふらはんするそ」と、くだんの田が寛丸名内であることを知りながら内見納所が官物を徴納することはないと友常の主張を否定。翌二年四月日の奉恒消息案(同文書)は全体としての文意をつかみがたい点があるが、官物を進済したと主張したようである。なお奉恒は前記康和元年(一〇九九)の解案によって友常と同一人物で大中臣氏であることがわかる。

両者の相論の対象となっているのは「河後郷三条十七粟父里十三坪」の田である。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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