朝日日本歴史人物事典 「寺崎紫白」の解説
寺崎紫白
生年:生年不詳
江戸元禄期の俳人。豊後国(大分県)日田生まれ。肥前国田代(佐賀県鳥栖市)の宮司寺崎平八(一波)と結婚し,夫婦ともに蕉風俳諧の坂本朱拙の門に学ぶ。伊勢詣を志し,夫婦で関西の旅に出て,近江の義仲寺の芭蕉塚にも参詣した。元禄13(1700)年,師の朱拙や夫の援助を得て俳諧集『菊の道』全2巻を編集刊行する。これは女性俳人の手になる最初の選集で,上巻は蕉門の209句からなる発句集,下巻は歌仙(長句と短句を交互に36句連ねたもの)7巻を収めている。江戸の榎本其角や杉山杉風,伊勢の各務支考,京の向井去来ら各地の人々の句が集められており,一地方の女性の教養の高さがうかがえる。<参考文献>別所真紀子『芭蕉にひらかれた俳諧の女性史』
(柴桂子)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報