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対偶婚 たいぐうこんthe syndyasmian family

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

対偶婚
たいぐうこん
the syndyasmian family

アメリカの人類学者 L.H.モルガンが,人類社会の性関係と婚姻結合の進化のモデルとして,乱婚から単婚への単系的進化を考えた際に,その進化の過程において,プナルア婚から単婚へ移行する過渡的な婚姻形態として位置づけたもの。モルガンによれば,多数の妻の中から1人を主たる妻として承認させる慣習が,やがて1対の男女から成る婚姻形態を出現させ,そのような1対の男女の関係が対偶婚であり,モルガンはアメリカ東海岸のイロコイ族の中にこうした婚姻形態を確認した。この婚姻形態は,現代社会に見られる一夫一婦の単婚制とは異なり,夫は結婚の紐帯 (ちゅうたい) の義務を認めず,それゆえ,妻はそれを承認する権利を持たない不安定な夫婦関係であった。対偶婚という概念は,モルガンによって,その進化論を説明するために理論的に付加された形態で,そのため,プナルア婚のように特別な親族名称体系を付随しない。 20世紀に入りモルガンの原始集団婚説が崩れた後は,対偶婚の概念も人類学上問題にされることはなくなった。

出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について | 情報

世界大百科事典内の対偶婚の言及

【親族名称】より

…同時にモーガンは,親族名称が過去または現在の婚姻様式の直接の反映だと考え,原初の乱婚の状態から,異世代婚が禁止され,兄弟姉妹同世代婚が行われた社会がマレー型名称を持つとした。さらにトラニア・ガノワニア型はプナルア婚punaluan marriage(妻の姉妹・夫の兄弟との自由婚)や対偶婚syndyasmian marriage(複数の兄弟姉妹集団間の集団婚group marriage)と対応し,一夫多妻婚を経て単婚家族にいたると名称体系もアーリア・セム型になるという一線的進化の仮説を提示した。モーガンの進化図式はその後厳しい批判にさらされることになったが,親族名称の科学的研究の基礎を築いたことは高く評価されている。…

※「対偶婚」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

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