改訂新版 世界大百科事典 「対心点」の意味・わかりやすい解説
対心点 (たいしんてん)
antipodal point
球において一つの直径の両端となっている2点,すなわち球の中心に関して対称な球面上の2点を互いに他の対心点,または対蹠(たいしよ)点という。Pの対心点をP*で表すとき,球面三角形ABCに対し,球面三角形A*B*C*を対心三角形という。対心三角形はもとの球面三角形と逆向きに合同である。次の定理をボルスクBorsukの対心点定理という。〈f,gを球面S上で定義された二つの連続関数とするとき,f(P)=f(P*),g(P)=g(P*)を満たす点PがS上に必ず存在する〉。この定理は,どの瞬間においても地球上のある対心点ではそれらの2点の天候(すなわち気温と気圧)が同じであることを示していて,興味深い。
執筆者:中岡 稔
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報