朝日日本歴史人物事典 「尊遍」の解説
尊遍
生年:治承1(1177)
平安末期・鎌倉前期の真言宗仁和寺新相応院流の声明家。新相応院流の声明を能覚の弟子隆憲より学び,正嫡となる。仁和寺の声明の実務に通じた声明家として伝承発展に尽くした功績は大きく,大勢の弟子を育て,優れた声明家を輩出した。なお,12世紀中葉に,仁和寺の覚性の呼びかけによる評定があり,乱立していた真言声明の各流派は,覚性の「本相応院流」,能覚から隆憲を通じ尊遍に受け継がれた「新相応院流」,「醍醐流」「南山進流」の4大流派に統合された。現在これらの4流派の系統は古義の真言声明と呼ばれる。
(高橋美都)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報