日本大百科全書(ニッポニカ) 「小児肺炎」の意味・わかりやすい解説
小児肺炎
しょうにはいえん
小児にみられる肺炎をいう。肺の炎症性病変を肺炎というが、肺における病変の広がりから肺炎を大葉性肺炎、小葉性肺炎(気管支肺炎)、間質性肺炎の三つに分けることができる。大葉性肺炎は肺一葉に浸潤が広がったものをいうが、小児には少なく、小児によくみられる肺炎は、小葉性に気管支から炎症が広がった気管支肺炎である。間質性肺炎は肺間質を主体とする肺炎で、マイコプラズマやウイルス性肺炎はこの形をとる。
小児にとっては肺炎は生命の危険の高い疾患で、感染症による死亡率では1位を占めている。感冒症状から急速に呼吸困難、チアノーゼ、呻吟(しんぎん)(うめき苦しむ)、不安状態に進展することがある。したがって、未熟児や新生児、抵抗力のない乳幼児では、的確な治療に全力を尽くすべきである。治療には、肺炎の原因となる病原微生物を正しく把握して感受性のある抗生物質を使うことが先決である。必要に応じて酸素吸入や輸液療法を行うが、鎮咳(ちんがい)剤や去痰(きょたん)剤は慎重に使うべきである。
[山口規容子]