種々の原因による人体組織の酸素欠乏状態に対して,吸気に酸素を加えることによって,空気より濃い酸素を吸入させて呼吸不全の改善をはかる操作。主として喘息(ぜんそく),肺気腫,肺炎などの呼吸器疾患や,鬱血(うつけつ)性心不全,著しい貧血,一酸化炭素中毒などに対する治療法として行われるが,高山登山や加圧装置のない航空機内など,気圧が著しく低下する場合に酸素の不足を補う目的でも行われる。
吸入の方法は,酸素ボンベから流量計を通して,鼻腔カニューレ,ベンチュリーマスク,フェーステントなどに酸素を導き,種々の比率で空気と混合して吸入させる。吸入酸素濃度は23%から40%程度のことが多い。50%以上の濃度で酸素吸入を続けると酸素中毒に陥り,肺炎,肺水腫などの肺障害,嘔吐などの神経症状を生ずる。長い間の肺気腫や睡眠薬中毒のように,呼吸中枢の血中二酸化炭素上昇に対する感受性が低下している場合は,酸素吸入は呼吸不足をきたすことがあり,低めの濃度で酸素を与えるか,人工呼吸器使用に切り替える必要のある場合が多い。
執筆者:白石 透
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