朝日日本歴史人物事典 「小林吟右衛門」の解説
小林吟右衛門(2代)
生年:寛政12(1800)
江戸後期・明治初期の近江商人。小林源左衛門の3男として近江国愛知郡小田苅村(滋賀県湖東町)に生まれ,7歳のときに東海道の持下り商の,叔父丁子屋小林吟右衛門の養子となる。天保2(1831)年の江戸呉服店開設後,京都,大坂にも出店し,大老井伊直弼の金庫番として政治的活動を裏面から支えた。開港後は通貨や生糸の差額取引によって巨利を得た直後,預金先の京都両替商が倒産する悲運に見舞われたが,沈着な対応により危険を乗り越え,丁吟と呼ばれる有数の豪商となった。危機に際しての冷静な行動に商略家としての面目を存分に発揮した。<参考文献>丁吟史研究会編『変革期の近江商人』
(末永國紀)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報