知恵蔵 「就活ルール」の解説
就活ルール
新卒学生の一括採用が一般的となっている日本で、採用活動の日程の目安とされてきたが、18年10月9日、経団連が会長・副会長会議で21年春入社の学生の採用活動からルールを撤廃すると決定したと発表。国内外での採用活動を行う企業や、経団連に加盟していないベンチャー企業や外資系企業を中心にルールにとらわれない採用活動を行う企業が増え、ルールの形骸(けいがい)化が指摘されていた。しかし、経団連の決定に対し、学生の学業への影響などを懸念する大学側が反発、経団連の中でも一定のルールを求める声が多いことから、政府主導での新たなルールづくりが進められている。政府は10月29日、21年春入社の学生については、現行の日程を維持することを決めた。
20年春入社までの学生を対象とした現行のルールは、大学3年生の3月1日に企業説明会などの「広報活動」、大学4年生の6月1日に面接などの「選考活動」を解禁すると定めている。更に、内定日を大学4年生の10月1日以降とするよう求めている。
就活ルールは1953年、政府や企業、学校などの間で申し合わせた「就職協定」として始まった。その後、企業が優秀な学生を確保するため、協定で定めた時期よりも前に採用活動を行う「青田買い」が横行するようになり、徐々に協定が形骸化していった。このため、97年に協定は廃止され、日本経営者団体連盟(現在の経団連)は協定に代わるガイドラインとして、内定日を大学4年生の10月1日以降などとする「倫理憲章」を定めた。当初は内定日のみが決められていたが、次第に広報活動や選考活動の日程も規定するようになった。倫理憲章は2013年、採用選考指針に改められ、16年春入社以降の学生から、広報活動、選考活動の解禁日を、それぞれ大学3年生の3月1日、大学4年生の8月1日と定めた。そして15年、現行のルールに改定された。
(南 文枝 ライター/2018年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報