国指定史跡ガイド 「山陽道野磨駅家跡」の解説
さんようどうやまのうまやあと【山陽道野磨駅家跡】
兵庫県赤穂郡上郡町落地にある駅家跡。岡山県境付近に位置する古代山陽道跡とそれに面する官衙(かんが)遺跡で、八反坪(はったんつぼ)地区とその北東にある飯坂地区に分かれる。八反坪地区では、古代山陽道西側の掘立柱塀による区画内に掘立柱建物の正殿と2棟の脇殿をコの字形に配置し、東面塀には八脚門がある。飯坂地区では築地による区画内に礎石建物の正殿、後殿、脇殿が整然と配置され、西面築地には山陽道に面して八脚門がある。古代、山陽道は唯一の大路として重視され、中継施設として官道沿いに約16kmの間隔で配置された駅家は瓦葺き白壁の建物として整備されたという。両地区の遺構は野磨駅家跡と考えられ、この地域に『大日本国法華経験記』などの説話にみえる毒蛇伝説に関わる「オロチ(落地)」の地名が遺存していることもそれを傍証している。この史跡は駅家中枢施設の構造や機能、変遷が明確になるなど、古代国家の交通体系と地方支配体制を具体的に示すものとして重要なことから、2006年(平成18)に国の史跡に指定された。山陽自動車道備前ICから車で約20分。