改訂新版 世界大百科事典 「オロチ」の意味・わかりやすい解説
オロチ (オロチ)
Orochi
ロシア連邦の極東地域,ハバロフスク地方に居住する先住民。人口880(1989)。自称はナニ(〈この地の人〉の意)で,ツングース諸語の一つであるオロチ語を話す。アムール川の下流域に定住生活をしていた漁労民で,食糧は大部分を乾魚(ユッコラ)にしたサケ・マスと狩猟の獲物に依存していた。日本海の沿岸地域では海獣狩猟も行われた。熊祭の儀礼も近年まで保持され,全体としてその文化は南に隣接するウデヘ族に類似している。オロチなど,この地域のツングース・満州語系諸族は先住民社会にエベンキ語系の民族集団が長期にわたり波状的にやってきて接触・同化した結果形成されたものと考えられている。旧ソ連時代にはコルホーズに組織され,漁労・狩猟のほか園芸などの仕事に従事していた。
執筆者:荻原 真子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報