…市場価格が生産価格と合致していれば社会的労働配分が均衡していることを意味するのであって,市場価格の変動はまさに社会的労働配分の絶えざる不均衡を是正していく商品経済のもつ社会的機能にほかならない。 以上は異なる産業部門間に生じる価格変動の問題だが,マルクスは《資本論》でさらに市場価格運動の内部的構造を形成するものとして市場価値Marktwertという概念を提起し,それと市場価格Marktpreisとの関係について若干の説明を加えている。市場価値とは,特定の産業部門内部で生産条件の優劣などの相違によって異なる個別的価値が成立しているとき,それらと区別され,かつその部門の社会的価値を決定する,市場を媒介にして形成される平均価値である。…
…異部門間の競争で平均以下の利潤率に耐ええなかった資本が,同種部門の内部ではどうしてそれに耐えなければならないのか。《資本論》は,同種の生産部門内の価格形成(〈市場生産価格〉)をとくに〈市場価値論〉として展開し,最悪の条件,または最良の条件のもとで生産された商品が,市場価格の動揺の中心をなす〈市場価値〉を規制する,ことを認めている。この市場価値の正常な社会的価値からの〈ずれ〉の問題がマルクス経済学者のあいだに,果てしない〈市場価値論争〉を呼びおこしている。…
※「市場価値」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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