一人(読み)イチジン

デジタル大辞泉の解説

いち‐じん【一人】

《天下にただ一人の意》天子。天皇。上御一人(かみごいちにん)。
「―を始め進(まゐ)らせて百官皆椒房(せうばう)の月に涙を落とし」〈太平記・三三〉

いち‐にん【一人】

ひとり。ひとりの人。
「代助は人類の―として」〈漱石それから
その土地や分野で第一であること。
「十ヶ年立たぬうちに五千両の分限にさされ、―の才覚者といはれ」〈浮・永代蔵・二〉
右大臣異称

ひと‐り【一人/独り】

[名]
人数が1であること。一個の人。いちにん。「―に一つずつ配る」「乗客の―」
仲間・相手がいなくて、その人だけであること。単独。「―で悩む」「―でいるのが好きだ」
他の人の助けを借りず、その人だけですること。独力。自力(じりき)。「―ではなに一つ満足にできない」「―で解決する」
配偶者のないこと。独身。「いまだに―でいる」
[副]
物事をその人だけでするさま。単独で。「―読書に励む」「―物思いにふける」
打消しの語を伴って、ある物事だけに限ったことではないという気持ちを表す。ただ。単に。「―現象にとどまらず、本質に迫るべきだ」
ひとりでに。自然に。
「むつかしくもぢれたるもの、―さばくるといへり」〈三冊子・黒双紙〉

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大辞林 第三版の解説

いちじん【一人】

〔天下にただ一人の人の意〕
天子。上一人かみいちじん。 「 -の心をなやます/海道記」

いちにん【一人】

ひとりの人。ひとり。
右大臣の異名。

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

精選版 日本国語大辞典の解説

いち‐じん【一人】

〘名〙
※文明本節用集(室町中)「万民主不一人(イチジン)
② (天下の唯一人者という意から) 天皇をいう。上一人(かみいちじん)
※本朝文粋(1060頃)一三・北野天神供御幣并種々物文〈大江匡衡〉「或塩梅於天下、輔導一人
※高野本平家(13C前)一「太政大臣は、一人(ジン)に師範として、四海に儀けいせり」 〔書経‐君奭〕

いち‐にん【一人】

〘名〙
① 人、ひとり。また、ひとりの人。いちじん。
※続日本紀‐宝亀一一年(780)六月戊戌「勅〈略〉物天下物非一人用
※発心集(1216頃か)二「年たけたる僧一人(イチニン)あり」
② ある人。なにがし。〔史記‐商君伝〕
③ その土地や領域で第一であること。また、その人。第一人者
※浮世草子・日本永代蔵(1688)二「五千両の分限にさされ、一人の才覚者といはれ
④ 右大臣の異称。
※有職小説(江戸中)(古事類苑・官位七)「天子を一人(いちじん)、太子を一人(いちんど)、関白を一所(いちのところ)、〈略〉と云」
⑤ 天皇の異称。
※醍醐寺文書‐延元三年(1338)五月一五日・北畠顕家奏状「一人之出百僚卒従威儀
※読本・昔話稲妻表紙(1806)四「上は一人(イチニン)より下は婆々嫁々にいたるまで」
⑥ 一日一人分の作業量や賃金。〔改正増補和英語林集成(1886)〕

いち‐ひと【一人】

〘名〙 最もすぐれた人。第一人者。
※虎明本狂言・法師が母(室町末‐近世初)「いち人の、みめのよひは、田中ごんのかみのまま娘」

ひ‐だり【一人】

〘名〙 =ひとり(一人)(一)
書紀(720)神武即位前・歌謡蝦夷(えみし)を毗(ヒダリ)(もも)な人」

ひっとり【一人】

〘名〙 「ひとり(一人)」の変化した語。
雑俳・軽口頓作(1709)「もたれたがる・ひっとりひとりお通夜の衆」

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