希運(読み)きうん

精選版 日本国語大辞典 「希運」の意味・読み・例文・類語

きうん【希運】

中国、唐代の禅僧。諡(おくりな)断際禅師。福州閩県(びんけん)の人。百丈懐海(えかい)に師事し、禅機を悟る。のち、鐘陵の大禅院の開祖となり、この地を故郷の地にちなみ、黄檗(おうばく)山と名づけた。弟子に、臨済宗の祖義玄。語録に「伝心法要」一巻がある。黄檗希運。大中年間(八四七‐八五九)没。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の希運の言及

【黄檗希運】より

…中国,唐後期の禅僧。断際禅師とよばれ,臨済義玄の師として知られる。生没年は不詳。850年ころ,60歳であった。福州の人,黄檗山で出家,江西で百丈懐海の法をつぎ,新たに黄檗山を創して,その教えをひろめた。時の宰相裴休が参禅し,その説法を筆録したものに《伝心法要》《宛陵録》の2書があり,禅の語録の代表とされて,早くより注目され,英訳も数種出ている。また皇太子時代の宣宗が一時僧となっていたときに相識であったことや,武宗の廃仏(三武一宗の法難)を経験した中国僧としての話題も多い。…

【黄檗山】より

…寺名を万福寺という。唐代盛期に正幹が開創し,希運が出家したことで知られる。宋以後,衰亡するが,明代に再興されて,臨済禅の代表的な道場となり,江戸時代この寺の住持隠元隆琦が,日本に来て宇治に黄檗山を開くことから,日本黄檗宗の祖山となる。…

※「希運」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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