語録(読み)ごろく

日本大百科全書(ニッポニカ)「語録」の解説

語録
ごろく

祖師の法話、説法問答などの語を、その場に参随していた者が記録したもの、もしくは祖師の法語の記録類を集成したもの。書物に頼った観念的な知識の習得よりも、人格と人格との出会いによる体得を重視した禅宗で生まれ、語録が重視された。代の『臨済録』が代表的なものである。美辞麗句を用いることなく、道理を伝えることを目的にした録体の散文で記された。わが国では、法語のなかに語録をも含めて用いている。代表的な作品には、親鸞(しんらん)の法語を弟子の唯円(ゆいえん)が記録した『歎異抄(たんにしょう)』、口ずから伝えられた親鸞の法語を収める覚如(かくにょ)撰(せん)の『口伝鈔(くでんしょう)』、道元(どうげん)の説示を参随者懐弉(えじょう)が筆録した『正法眼蔵随聞記(しょうぼうげんぞうずいもんき)』、一遍(いっぺん)の法話の記録を後世になって集録した『一遍上人(しょうにん)語録』などがある。

伊藤博之

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精選版 日本国語大辞典「語録」の解説

ご‐ろく【語録】

〘名〙 ・明以後、儒者や僧のことばを記録した書。転じて、偉人などの言葉を集めたものなどについてもいう。
※正法眼蔵随聞記(1235‐38)六「語録、公案等を見るには、百千に一つ、いささか心得られざるかと覚ゆる事も出で来たる」

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「語録」の解説

語録
ごろく

高僧言行を集録したもの。特に禅宗で祖師の語を弟子たちが筆録したものをさす。中国,特に宋代以後における語録の文体は当時の口語体に近いことが注目され,表現もきわめて自由なものが多い。

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百科事典マイペディア「語録」の解説

語録【ごろく】

禅宗で師家が悟りの心要を述べた教語を弟子らが筆録した書。唐の慧能(えのう)の《六祖大師法壇経》など。主要な教え(語要)に詩偈(しげ),文疏(ぶんしょ)を付加したものを広録という。

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世界大百科事典 第2版「語録」の解説

ごろく【語録 yǔ lù】

禅僧の説法,問答などを筆録する,口語文献の総称。今,ある個人の特色ある発言を集めて,語録というのは,その転化である。口語文献は,すでに《論語》や《孟子》をはじめ,六朝の逸話を集める《世説新語》に先例があるが,唐代以後,禅仏教の発展とともに,従来の訓詁中心の著述以外に,すぐれた師弟の日常茶飯の語を尊ぶ風が生まれて,新しい語録の編集が盛んとなり,禅仏教以外にも,多くの宋儒の語録があらわれる。いずれも,同時代の文学や歴史,哲学の書に大きく影響して,新しい個性の開発を助け,学問の方法を変え,その担い手を拡大するなど,近世中国文明の大きい特色の一つとなる。

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普及版 字通「語録」の解説

【語録】ごろく

日常の語を集録した書。宋・陸游〔兼山先生易説に跋す、一〕郭立之、先生に從ひてぶこと最も久し。先生革(すみ)やかなるも、ほ立之と問答の語り。語はす。

字通「語」の項目を見る

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世界大百科事典内の語録の言及

【朱子語類】より

…朱子学の大成者朱熹(しゆき)が門人たちと交わした座談の記録集。1270年,黎靖徳(れいせいとく)が記録者別のノート(語録という)を項目別に再編成したもの。全140巻。…

【禅】より

…如来清浄禅より,そうした祖師禅への脱皮は必然である。馬祖以後,師祖たちの言行をまとめて,語録とよばれる新しい型の本が登場する。語録は,経論の訓詁や,体系の書とは異なる,一人一人の個性の記録である。…

※「語録」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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