帯座(読み)おびざ

改訂新版 世界大百科事典 「帯座」の意味・わかりやすい解説

帯座 (おびざ)

中世における帯商人の座。帯座の成立は1488年(長享2)ごろと考えられる。《建内記》によると,1447年(文安4),でき上がった帯を大宿織手(のち大舎人座を構成)が直接販売することが,課役徴収権をもつ本所天台座主によって禁じられ,帯棚または問丸に卸すこととされているが,ここには生産と販売が分離されていく傾向が見られる。やがて販売に携わる帯棚・問丸が結集して帯座が成立した。帯座は1528年(大永8),大舎人座の直売を禁じる奉書をもらっており,帯の販売だけでなく生産の座をも支配するに至った。このころ座の内部でも座頭職が成立する。座頭は座公事を本所(天台座主)に納める公用代官を兼ねており,座人を補任する権限をももつ座の支配者的地位に立つものであった。28-41年(天文10)ごろまでの座頭の亀屋五位女はその座頭職の当知行承認を幕府に願い出ているが,その後本所補任と称する中山掃部助の訴えによって争論となったため,五位女は座頭職を角倉吉田宗忠に売却し,宗忠方は幕府の承認を得た。このようにして帯座座頭職は高利貸業者の手に移り,物権化し,それにともない同業者の組織としての帯座の性格は失われていった。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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