朝日日本歴史人物事典 「常世長胤」の解説
常世長胤
生年:天保3(1832)
明治前期の平田派国学者。下野国(栃木県)都賀郡壬生に住み,はじめ常住敬吉と称したが,のち常世長胤と改めた。慶応2(1866)年に平田篤胤の没後の門人となり,維新後は神祇官内宣教師に出仕。次いで芝大神宮祠官や教部省中録,山形県使,神宮教(伊勢神宮の神官を中心として組織された神道系宗教)山形県本部長などを歴任したが,神宮教管長の田中頼庸と対立して職を追われた。国学者として,あるいは神祇,宗教官僚としての業績にみるべきものはないが,その回顧談である『神教組織物語』は明治前期の神道史,宗教行政史研究の古典となっている。
(阪本是丸)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報