日本歴史地名大系 「幕末外国関係文書」の解説
幕末外国関係文書
ばくまつがいこくかんけいもんじよ
五五冊 東京大学史料編纂所 東京大学 明治四三年―(刊行中)
解説 東京大学史料編纂所が明治四三年以来編纂・刊行を続けているもっとも緻密な幕末期の外国関係文書の集大成。大日本古文書の一部。嘉永六年六月ペリーの浦賀来航以来の外国関係文書を網羅的に年月日順に配列しているが、編纂の困難のため最新刊第四八冊目の内容はまだ文久元年正月晦日に達したばかりである。含まれる文書は、外国(人)との条約書、往復文書、談判記録など本来の外国関係文書や記録のほか、対外関係をめぐる国内の諸文書をも広く収録し、各文書には出典が明記されている。日付順に並べられた各冊の目次には簡単な内容が付されていて便利である。本書の特徴の一つは、蝦夷地の経営とアイヌへの撫育政策に関する文書が非常に多く収録されていることで、近世末期の蝦夷地資料集としても有用である。このことは蝦夷地開拓そのものが、対露関係の一環として認識されているからであろう。また対露関係についても、いわゆる外交交渉に関する文書ばかりでなく、係争地カラフトの現地におけるロシア人との交渉記録や、ロシア人の進出状況についての探索記録など箱館奉行所の文書が多数含まれている。以上のことに関連して蝦夷地の地理調査の記録も少なくない。また別冊附録には「川路聖謨日記」「古賀謹一郎西使日記」「村垣淡路守公務日記」などが含まれている。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報