朝日日本歴史人物事典 「広瀬周伯」の解説
広瀬周伯
江戸後期の蘭学者。名は信,字は周伯,号は紫山園。杉田玄白の門人で谷田部藩(筑波市)藩医というが,詳しい事跡は知られていない。文化5(1808)年に刊行した『(図会蘭説)三才窺管』(全3巻)に蘭学者としての片鱗がうかがえる。同書は,天・地・人の三才を蘭説に基づいて理学的,医学的に説き図解した書で,地動説の紹介がみえるほか,自身による星や月の望遠鏡観測記事もある。またガラスを油煙で燻べらしてサングラスを作ることなどが述べられ,気圧計(ウェールグラス)の自製を試みて気体寒暖計の製作に至っている。<参考文献>原田謙太郎「広瀬周伯著『三才窺管』に就て」(『日本医史学雑誌』1326号)
(宗田一)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報