日本大百科全書(ニッポニカ) 「床板サンゴ」の意味・わかりやすい解説
床板サンゴ
しょうばんさんご
腔腸(こうちょう)動物門花虫綱の1亜綱Tabulataを構成する動物群。古生代だけから知られるtabulateのよく発達した絶滅した動物である。群体性で、群体の形状は樹状、塊状、薄片状といろいろある。サンゴ個体はそれぞれ隣接するサンゴ個体からよく独立していて、円筒形または多角柱形であり、一般的に隔壁を欠くが、サンゴ個体内面に棘(とげ)や結節の列や単純な隆起として認められるものもある。これらの隔壁様構造をもつものでも、個体によってその数は一定しないのが普通である。サンゴ個体の側壁は一般には無孔性であるが、多孔性の側壁をもつのを特徴とする1科があり、また側壁に壁孔mural poreとよぶ大きな孔(あな)をもつのを特徴とする1科がある。サンゴ個体内は水平方向の多くの床板が上下に配列するが、シナプティキュラ、軸柱、そのほかの内部構造はない。古生代オルドビス紀初頭からペルム紀(二畳紀)にかけてみつかり、多くの指標化石属を含む。約40属が知られ、6科に分けられている。ヒドロ虫類のストロマトポロイド類および石灰藻類とともに古生代のサンゴ礁形成の重要な構成員となった類である。現生の八放サンゴ類に似たところがあるが、この類そのものが系統的にまとまったものでなく、さらに八放サンゴ類、六放サンゴ類とも直接には類縁のないものと考えられている。
[内田紘臣]