日本大百科全書(ニッポニカ) 「六放サンゴ類」の意味・わかりやすい解説
六放サンゴ類
ろっぽうさんごるい
腔腸(こうちょう)動物門花虫綱の1亜綱Hexacoralliaを構成する動物群。ほとんどの種が海産であるが、一部は汽水域から知られる。淡水および陸上には生息しない。単体のものと無性的に分裂や出芽を繰り返し群体となるものがあり、骨格をもつものともたないものがある。ポリプは基本的には円筒形で、上面中央に口をもち、その周囲に触手をもつ。口からは胃腔内に口道がぶら下がり、胃腔内には放射状に配列する隔膜mesenteryがある。
この類は隔膜の配列が基本的に6、12あるいはその倍数となるとされるが、例外が多く、花虫類のなかで非常にまとまったグループである八放サンゴ類の7目を除いた残りを寄せ集めたものといえる。この類には7目が知られるが、そのうちイソギンチャク目、イシサンゴ目、ホネナシサンゴ目とほか1目は基本的に2枚が対(つい)をなした隔膜が放射状に並び、新たな隔膜対は体壁の1点あるいは2点からのみ新生されるのではなく、全体にわたって放射状に新生される。スナギンチャク目は腹側の方向隔膜の両側の2点から新たな隔膜が新生され、ハナギンチャク目は背側正中の1点から隔膜が新生される。また、ツノサンゴ目では6本の触手をもち、6枚の大きな隔膜のみをもつものが少数あるが、ほとんどの種はそのほかに4枚あるいは6枚の小さな隔膜が口盤中央の口丘(こうきゅう)の中だけにあって、隔膜および6本の触手はそれ以上に増えることがない。六放サンゴ類のなかではイシサンゴ目とイソギンチャク目が非常に大きなグループで、そのほかの5目は少数の種を含む小さな目である。
[内田紘臣]