引締(読み)ひきしめる

精選版 日本国語大辞典 「引締」の意味・読み・例文・類語

ひき‐し・める【引締】

〘他マ下一〙 ひきし・む 〘他マ下二〙
① 引っぱってしめる。強くしめる。
俳諧・新続犬筑波集(1660)六「から衣きつつわらぢを引しめて やぶらかしぬるたびをしぞおもふ〈三信〉」
② 抱き締める。
※狂歌・豊蔵坊信海狂歌集(17C後)「ひきしめてねる夜もなふて化な名をゆひたてられしかのこ百合哉」
③ 心や体のゆるみをなくす。緊張させる。
浄瑠璃釈迦如来誕生会(1714)二「なんぼ太子様おもてむきは引しめたかほ遊ばす共」
財政金融などの支出を抑える。家計などのむだな出費をなくす。
社会百面相(1902)〈内田魯庵〉虚業家尺牘数則「当銀行重役に談じ候ところ何分目下危険にて堅く引締め居候場合なれば」

ひき‐しま・る【引締】

〘自ラ五(四)〙
① ぎゅっと強くしまる。ぴんと張りつめたようになる。
断橋(1911)〈岩野泡鳴〉一「秋と云ふ引き締った感じが」
② 心や体にゆるみ、たるみがなくなる。緊張する。しゃっきりする。
※いさなとり(1891)〈幸田露伴四四「引締った考へ持たず」
相場が上向きになる。値が上がりぎみになる。
朝野新聞‐明治一五年(1882)四月一三日・附録「東京物価表〈略〉二番は又引締りぼつぼつ買進み」

ひき‐しめ【引締】

〘名〙
① ゆるみをなくすこと。また、支出を抑えること。規律などを厳しくすること。「金融の引締」
※志不可起(1727)「心にしめ、或は扡(ヒキ)しめ、或握しめ、懐抱(だき)しめなどの類も」
女帯の結び方の一つ文庫結びの変形で、結びめを帯に平行とするもの。〔都風俗化粧伝(1813)〕

ひっ‐ち・める【引締】

〘他マ下一〙 (「ひきしめる(引締)」の変化した語)
① 強くしめる。
雑兵物語(1683頃)上「とっくとたましひをひっちめて、あだ玉をはじき捨ない様にはなしめされう」
全体をまとめる。合計する。また、要約する。
滑稽本・早変胸機関(1810)「ぐっとひっちめた高が」

ひっ‐し・める【引締】

〘他マ下一〙 「ひきしめる(引締)」の変化した語。
※禅鳳雑談(1513頃)上「坂を上がる時、身をかろく持ちて、ひっしめて、そくそくとあがればよし」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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