引詰(読み)ひきつめる

精選版 日本国語大辞典 「引詰」の意味・読み・例文・類語

ひき‐つ・める【引詰】

〘他マ下一〙 ひきつ・む 〘他マ下二〙
① 引っ張って、締めたり束ねたりする。また、いっぱいに引く。
保元(1220頃か)下「大鏑を取ってつがひ、こひぢのまはるほど引つめて」
職人歌仙(17C中)「ねうちをば十三束にひきつめて」
② 手早く次々に矢を射る。絶え間なく矢を射かける。多く、「さしつめひきつめ」「さしとりひきつめ」の形で用いる。
太平記(14C後)八「引攻(ツメ)引攻散々に射けるが」
③ 休む間もなく次々ととりはからう。
上杉家文書‐永祿一三年(1570)三月二六日・北条氏康同氏政連署条書「此時御使彼国へ被指越、引詰而御落着、専要存事」
④ 深く思いこむ。
※歌舞伎・東海道四谷怪談(1825)二幕「其方が願ひが、叶はぬ時はとひきつめし、娘心武士の胤」

ひっ‐つめ【引詰】

〘名〙
日本髪で、たぼを長く出さないで後ろに引きつめて結う、女性の庶民的な結髪法の一種。また、単に髪を後ろに引きつめて、一つに結うこと。
洒落本・まわし枕(1789)「此家の女房年は三十ぐらい、かみはひっつめのがくや結び」

ひっ‐つ・める【引詰】

〘他マ下一〙 「ひきつめる(引詰)」の変化した語。
※禅鳳雑談(1513頃)中「かやうにひっつめて、かい取ていい候事、いまだきかぬ事にて候」
雑兵物語(1683頃)上「一つの矢を引つめてはゆるし、ゆるしてはひっつめ、随分一筋の矢をたばって、むさといべからず」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報